1945年9月2日 マッカーサー元帥のラジオでの演説
平和が戻った:降伏文書調印式が行われ第二次世界大戦が終結
1945年9月2日、降伏文書調印式の終わりに連合軍最高司令官のダグラス・マッカーサー元帥がラジオでスピーチを行いました。“今日発砲の音は聞こえません。最大の悲劇は終わりました。大勝を手にしました。死の雨は降り止み、太陽の元、海は交易に開かれました。世界は平和の静けさの中にあります。神聖な目的は成し遂げられました。ジャングルの中や海辺、太平洋の深い海の中にいる無数の人々に向けて私は今話しています。帰港中、大惨事の海難救助に勇敢に挑んだ無数の帰らぬ人々へ、、”世界中が恐怖に震え、民主主義は守勢に立ち、現代文明は危機に瀕している情勢の中、バターン州やコレヒドール島の長く続いた恐ろしい日々を振り返り、勝利をもって信頼・勇気・力を与えてくださった慈悲深い神に感謝します。我々は敗北の苦しみと勝利の歓喜を味わい、後戻りは出来ないことを学びました。戦争の勝利から得た平和を維持していくためには前進あるのみです。
新しい時代がやってきます。勝利から学んだことは今後の安全性や文明の存続の深い配慮です。科学の進歩による戦争の破壊性は、本来の戦争の考え方を変えました。
人間は有史以来平和を探し求めてきました。国家間の紛争を防止する、あるいは解決する国際的手続きを創り出す為に、様々な方法が時代を通して試みられてきました。個々の市民に関する限り、まさにその当初から有効な方法が見つけられましたが、国際的規模の機関では一度も達成されることはありませんでした。軍事同盟、勢力均衡、国際連盟、これらは全て次々と破綻し、戦争のるつぼと化してしまうのです。これが私たちには最後のチャンスなのです。もしもより大きな衡平的機構を考案しなければ、アルマゲドンは私たちに到来することになるでしょう。根本的な問題は神学的な問題であり、精神の再生と人間の性質の改善を包含するものであり、それは私たちの比類なき過去2千年にも遡る科学、芸術、文学、そして物質的で文化的発展における前進と共にあるでしょう。もし私たちが人類を救うとするならば、それは精神を通してに違いないのです。
92年前に来航した同朋のペリー提督を偲んで、私たちは今東京に立っています。彼は友好関係、貿易や通商における世界からの孤立化をなくそうと、啓発と進歩を求めて日本へやってきました。しかし悲しいかな、西洋科学との接触が、まるで抑圧や奴隷へと繋がるかのように捏造されて伝わってしまったのです。表現の自由、行動の自由、思想の自由は迷信に過ぎないと否定されてしまいました。しかし、私たちはポツダム宣言によって誓約されたように、日本人を奴隷的な状態から解放する任務を負っています。
日本民族の能力を建設的な軌道に振り替えられるなら、この国は現在の憐れむべき状態からやがては立派な地位に自らを高めることができるでしょう。
環太平洋地域は抑圧から解放された新たな世界となるでしょう。今日、民主主義の下に自由な世界がやってきました。今日、ヨーロッパ並びにアジアでは、恐怖から解き放たれた人々が自由に酔いしれています。
アメリカは、アジア諸国における新たな自由な国、東西分け隔てなく互いに尊重し合いながら共存する国としてフィリピンを発展させてきました。私たちが辿った独立への歴史は受け継がれているのです。
同朋のみなさま、自分たちの息子や娘たちが、歴史的真実に基づいた伝統と血気盛んなアメリカ兵士の精神の下、忠実にみなさまを守ってくれることをお伝えします。彼らの強硬な精神力が私たちの勝利へと導いたのです。そして彼らは帰国の途に着くのです。”